『花びらの栞』

忘れていた昔の本。

黄ばんだページから花びらが舞い落ちて
あの日の物語が芽吹き出す。

桜の木の下。君と二人。

旅に出て、冒険をして
戦って、死んで、推理した。

笑って、泣いて、夢を見て

隣の肩に、恋をした。

あの頃の二人には
最終章のその先なんて、要らなかったのにね。


photo by「鈴木真吾」様
2019.03.29