『アトカタリスト』
跡形もなくなりたかったのだと、
私のアトカタは、錆びた声で語り出す。
夢を嘘にしてしまえず
嘘を本当だと思い込むことも出来なかったから
傷付くだけの不毛な未来を捨てて
消えてしまいたかったのだと。
けれど人間一人の消滅は、かくも難しいらしい。
立つ鳥が跡を濁さないようにはいかず
羽無しが努力した結果、
昨日の影のようにコンクリートにへばりついている
中途半端な過去の痕跡。
それは実態よりも悪目立ちする、私のアトカタ。
photo by「くれよん」様
2017.09.24