『世界の果て』

新しい靴は私の足に合わなくて
歩く度にズキズキした。

だから、1歩が100歩にも感じられて
「ああ、世界の果てまであと少しだな」
と思った。

私が世界の果てに辿り着いたら
残してきた“あれら”はどうなるのだろう。

例えばアパート。
静かな部屋で、誰も開けることのない冷蔵庫だけが
ひっそり唸り続けるのだろうか。

あ。

柔軟剤と絆創膏。買って帰らなきゃ。


photo by「くれよん」」様
2017.07.29


そうしてまた私は、
帰るための言い訳を探している。