『孤独の棘』

自分が傷付くことは怖くない。
誰かが傷付くことが怖かった。

だからこんな棘の中
独りぼっちで居るというのに

無理にでも立ち入ろうとする
その無謀な傷にだけ、

私の孤独は癒される。


photo by「佐藤忠雄」様
2016.11.19








使い古された言葉は
唾液に塗れて錆び付いているから

潔癖症の私は語らない。

使われなくなったこの口が、
いつか腐り落ちるとしても。





重ね着の蓑。
頑なに引き結んだ唇。

寒さは、私と世界を隔絶する。