『夜の残滓』

昨晩の嵐で
砂浜に打ち上げられた“夜”の残滓。

途方に暮れている内に
世界は白み、朝が来た。
取り残されたそれには、足が生えた。

それが、私です。


photo by「Shun Toguchi」様
2016.09.08




私の目はずっと、
ここにはない星の砂を探すように
浜の砂を洗っていた。

空に星が輝くまで

ずっと。

ずっと。








夜の海は墨のように真っ黒で、
とても恐ろしいでしょう。

悲しみとか、恨みとか、嫉妬とか、
そういったものが溶け混んでいるからなの。

それらが砂に洗われて
朝までに青く澄んだ色になるのよ。

私は、その残りカス。

つまり、ねえ、

そういうことなのよ。