『夏の切り売り』

チリン、チリンと風鈴を鳴らして
一台の屋台が止まった。

「よく冷えているよ」と言われて近づくと、
そこには色とりどりの“夏”が並べられている。

わたしはその中から
金魚色、花火色、ラムネ色を選んで、
氷と一緒にビニールに詰めてもらった。

「日持ちしないからお早目に」

そう言って、屋台は去っていった。


photo by「まっちゃ」様
2016.08.06


冷凍庫の奥にしまっておくとか
塩漬けにするとかしたら

いつまでもとっておけるかしら。













夏の夕立のような
激しさを秘めたあなたの表情にハッとした。

あの頃の
セミを自慢してきた無邪気な少年は

もう、いないのね。