『焔の虚像』 夏の終わりに、妖しい焔。 「君によく似ているね」と、あなたは言った。 過去の悲しい思い出に毎晩枕を濡らしたり 昔の恋人が好きだと言った口紅を今も使い続けていたり そんな、憂いを帯びた顔の似合う儚げな女が あなたの中の勝手な「私」。 ちゃんちゃらおかしくて、いい加減うんざりもしてきたけれど 私は100均で買った安っぽい口紅で、 妖艶に見えるように微笑んだ。
photo by「眠り猫」様 2015.09.22