『納涼』

涼しげなガラスの音色に、夏が遠のく。

やかんで湧かした麦茶。
ちょっとしけった昨年の残りの花火。

死んだふりの蝉に驚いて、
かき氷に頭が痛くなって。

何百人が何百回も繰り返してきたような
どこにでもある夏。

わたしだけの、特別な夏。


photo by「眠り猫」様
2015.08.23